高齢者にやさしい診療所

医療福祉生協連では、世界保健機関(WHО)が発行した「高齢者にやさしい診療所ツールキット」に基づいて「導入マニュアル」を用いて医療生協の診療所における高齢者ケアの質の向上にとりくんでいます。

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世界保健機関(WHO)

2008年、世界保健機関(WHO)は世界の様々な国で調査した結果をもとに、高齢者にやさしい医療機関(プライマリ・ヘルスケアセンター)に必要なツールを盛り込んだ「高齢者にやさしい診療所ツールキット」を発表しました。「高齢者にやさしい診療所」の条件として、

  1. 医師、看護師、事務職、介護職などの職員が高齢者ケアについてよくトレーニングを受けており、十分な知識があること、
  2. 医療機関の受診に関するシステムが高齢者にとって利用しやすいものであること、
  3. 医療機関内の物理的な環境が高齢者にとって利用しやすいよう整備されていること、

が挙げられています。

医療サービスの質改善

医療福祉生協連では、それぞれの診療所でツールキットを簡単に導入できるよう、使い方の指針を示した導入プログラムを作成しました。2009年度、10生協12診療所で試験的に導入し、このプログラムは、実施可能で、かつ、診療所づくりに有用なものであることがわかりました。高齢者がいきいきと暮らせる社会のために、地域の中で診療所としてどのような事ができるのか、現状と課題の抽出、具体的な行動計画の作成など、医療サービスの質改善を行う診療所へと成長する機会になりました。

地域から選ばれる診療所

超高齢化した日本社会において、地域の高齢者のプライマリ・ヘルスケアにいて医療生協が担う役割は、ますます重要になってきています。高齢者ケアの質改善にとりくむ診療所として、地域から選ばれる診療所になることをめざしていきます。

委員長のごあいさつ

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医療福祉生協連「高齢者にやさしい診療所」導入プログラムは、2009年にスタートし、これまでに65診療所がプログラムを導入しています。そのうち、54診療所が第1段階を修了して第2段階へ移行し、質改善活動への具体的なとりくみを進めています。

本プログラムのキーワードは「高齢者ケア」と「質改善」です。

プライマリ・ケア診療所は高齢化社会にいち早く適応し、質の高い高齢者ケアを提供することが求められます。また、医療費の適正使用という観点から、医療政策的にも質改善活動への注目度はさらに高まると予想されます。診療所における診療の質が測定・公開され、その高低で診療所が選択される日が来るかも知れません。

一方で、診療所における高齢者ケアの課題は多種多様で、画一的なアプローチで解決できるものばかりではありません。多様な課題を的確に解決するためには、多職種によるチームを形成し、個別に質改善に取り組む必要があります。チームを形成して共通の目標へ向かう過程で、職員の結束力とモチベーションが高まっていくことをこれまでの活動の中でたびたび経験しています。

本プログラムは、より良い高齢者ケアに取り組む診療所をサポートすることを通して、高齢者にやさしい社会の実現を目指しています。多くの診療所のご参加をお待ちしています。

高齢者にやさしい診療所小委員会
喜瀬守人

ツールキットのご紹介

世界保健機関(WHO)が、世界の様々な国で調査した結果によれば、高齢者にやさしい医療機関の条件として、以下の3点が挙げられています。

ツールキットのご紹介

医師、看護師、事務職、介護職などのスタッフが高齢者ケアについてよくトレーニングを受けており、十分な知識があること
医療機関の受診に関するシステムが高齢者にとって利用しやすいものであること
医療機関内の物理的な環境が高齢者にとって利用しやすいよう整備されていること

それらを実践するためのツールをもりこんだものが、「高齢者にやさしい診療所ツールキット」です。

ツールキットの目的

  1. 高齢者によりよく対応できるプライマリ・ヘルスケアを行う
  2. 高齢者の独自のニーズに対応できるよう医療従事者の意識を高める教育を行う
  3. 高齢者ケアに必要なツールの使用法を解説する
  4. 高齢者が体験するさまざまな障がいについての意識を高める
  5. 高齢者のニーズに即したマネジメント・システムに関する指針を示す
  6. 高齢者にやさしい環境設備を審査する指針を示す

ツールキットの構成

第Ⅰ章

Ⅰ-1 高齢者にやさしい診療所ツールキットの背景

第Ⅱ章

Ⅱ-1 正常な老化とは
Ⅱ-2 高齢者とのコミュニケーション
Ⅱ-3 高齢者のためのヘルスプロモーション
Ⅱ-3-1 高齢者に対して推奨される予防医療とは
Ⅱ-3-2 行動カウンセリングの一般的ガイドライン
Ⅱ-3-3 行動カウンセリングの5ステップ~禁煙を例に~
Ⅱ-3-4 禁煙カウンセリングの基本
Ⅱ-3-5 身体活動に関するカウンセリングの基本
Ⅱ-3-6 栄養カウンセリングの基本
Ⅱ-4 高齢者の総合評価とマネジメントのためのコア能力
Ⅱ-4-1 総合診療
Ⅱ-4-2 「老年医学の巨人」の評価と主なマネジメント
・Tool1 10分間総合スクリーニング
1 物忘れ
・Tool2 Mini-mental state examination (MMSE)
・Tool3 物忘れ評価フォーム
・Tool4 高齢者うつスケール (GDS)
2 うつ
・Tool4 高齢者うつスケール (GDS)
・Tool2 Mini-mental state examination (MMSE)
3 尿失禁
・Tool5 尿失禁評価フォーム
4 転倒
・Tool6 転倒評価フォーム
・Tool7 日常生活動作の評価 (ADL)

第Ⅲ章

Ⅲ-1 高齢者にやさしい診療所におけるサービスとは
Ⅲ-2 患者ケアコーディネーター
Ⅲ-3 高齢者にやさしい予約システム
Ⅲ-3-1 高齢者にやさしい予約システムのフローチャート
Ⅲ-3-2 予約をとる際の配慮
Ⅲ-3-3 高齢者にやさしい予約のためのタスクとスキルのチェックリスト
Ⅲ-3-4 予約の確認と強化
Ⅲ-3-5 診療所前後の対応
Ⅲ-3-6 高齢者のための特別な診療時間
Ⅲ-3-7 フォローアップ・システム
Ⅲ-4 高齢者向けの地域サービス一覧
Ⅲ-5 病診連携システム
Ⅲ-6 プライバシーに関するガイドライン

第Ⅳ章

Ⅳ-1 ユニバーサルデザイン-利用者にやさしい診療所の設計
Ⅳ-1-1 ユニバーサルデザインの原則
Ⅳ-1-2 デザインにおける配慮
Ⅳ-1-3 診療所アクセス審査チェックリスト
Ⅳ-2 診療所内外の標示に関するガイドライン
Ⅳ-2-1 標示方法に関する原則
Ⅳ-2-2 診療所標示に関するチェックリスト

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